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Journal ジャーナル
背伸びした会社案内は、続かない
2026.08.11

背伸びした会社案内は、続かない

会社案内やホームページをつくるとき、「うちを実際より少しよく見せたい」という気持ちは、どの会社にもあります。せっかく費用をかけるなら、強く見せたい。よく分かります。ですが、背伸びした見せ方で選ばれると、そのあとずっと、その姿を演じ続けることになります。

背伸びした見せ方で来た人は、続かない

実際より大きく、実際より得意そうに見せると、問い合わせは増えるかもしれません。問題はその次です。

実際に会ったとき、現場を見たとき、その期待と目の前の現実が一致していないと、人は「思っていたのと違う」となります。このギャップは強く残り、そのあとに出てくる言葉まで、少し疑われるようになります。「この会社が言っていることは、盛ってあるのかもしれない」と。信頼は、こういうところで削れていきます。

逆に、等身大で伝えて来てくれた相手とは、最初の会話から話が早い。期待と実物がそろっているので、余計な埋め合わせがいらないからです。

「なんでもできます」は、いちばん伝わらない

見せ方を強くしようとすると、多くの会社が「なんでもできます」に寄っていきます。対応範囲を広く書き、実績を並べ、語尾を強くする。

ですが、受け取る側からすると、なんでもできますと言われるより、「これはできます、これはやりません」とはっきり言ってくれる会社のほうが、ずっと安心できます。できないと言える会社は、都合の悪いことも言ってくれる会社だと伝わるからです。

できることの範囲を正直に言い切ると、できると言った部分の言葉が強くなる。等身大で言えることは、それ自体が信頼になります。

盛りたくなるのは、自社の価値が自分では見えないから

なぜ背伸びをしたくなるのか。多くの場合、自分たちの実物が、自分たちでよく見えていないからです。

自社ができていることは、社内からはいちばん見えません。毎日やっていることは当たり前になってしまうので、価値だと思えない。だから手元にあるものが少なく見えて、外から何かを持ってきて足そうとしてしまいます。

ですが、お客様から見ると、そこはまったく当たり前ではありません。「よくそこまで確認してくれますね」「ここまでやる会社は、あまりないですよ」。言われた本人たちは、たいていきょとんとしています。

私たちがブランディングでお手伝いするとき、社長の頭の中だけを掘ることはしません。社員の方にも聞きますし、お客様がなぜこの会社を選んだのかも聞きに行きます。自分たちでは見えないところに、たいてい答えがあるからです。

他社と比べると、背伸びが始まる

背伸びが始まるのは、たいてい他社と比べたときです。

競合のサイトやSNSには、その会社の一番いい瞬間が並んでいます。こちらは自社の全部を知っている。うまくいっていない部分も、迷っている時間も。他社の完成品と、自社の作りかけを比べているようなものです。

そこで足りない気がして、少し盛る。すると相手もまた盛る。この競争には終わりがありません。

等身大は、現状維持ではない

誤解のないように言うと、等身大でいることと、成長しないことはまったく別です。

等身大とは、今どこに立っているのかを正確に分かっている状態のこと。地図の現在地が違うところに打たれていたら、どこにも行けません。背伸びは、その現在地を実際より少し先に打ってしまうことです。

背伸びと成長は、順番が逆だと思っています。背伸びは、見せ方を先に変える。成長は、中身を先に変えて、見せ方はあとからついてくる。中身が先の会社は、だんだん自分たちを大きく見せる必要がなくなっていきます。実物が上回っていくので、説明がいらなくなる。逆に、見せ方が先の会社は、いつまでも説明し続けることになります。

会社案内を、読み返してみる

もしよかったら、自社の会社案内やホームページの文章を、あらためて読み返してみてください。

これを読んだ人が、実際に会ったとき「思っていたとおりだ」と感じるかどうか。少し盛っているところがあれば、そこは削るか、あるいは実際にそうしてしまう。どちらでも構いません。大事なのは、言葉と実物の距離を縮めることです。

短距離なら、背伸びでも走れます。ですが、会社はけっこう長く続きます。長く走るなら、自分の足のサイズに合った靴のほうがいい、という話でした。