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不便をなくせば、体験価値は向上するのか?

DATE . 2024.02.29

Category : ブランディング

Hagiwara Masataka
ジャーナルを書いた人Hagiwara Masataka

Branding Director

周囲からブランディングバカと言われるほど四六時中ブランディングやクリエイティブを探求している。
目標は変化を願う方の挑戦を誰よりも強く支えられる人になること。

不便をなくせば、体験価値は向上するのか?

日本の産業の歴史を辿ると、
日本は海外に比べて技術力や問題解決力が高いことがわかります。
現に製品のスペック自体は海外にも引けを取りません。
(むしろ高い)

ただ、全ての人、もしくはあらゆるシーンで、
機能性の高いハイスペックな(便利な)商品が求めているのかというとそうではないと思います。

例えば、自ら好んでマニュアル車に乗っている人は、
車に対してさほど機能性を求めていなかったりします。

そして…少し個人的なお話になりますが、先日沖縄に行ってきたのですが、
沖縄の郷土料理が食べられる居酒屋のメニュー表なんて僕にとっては不便の塊でした。

料理名から食べ物のイメージが湧かないし、料理の説明がないし、料理写真もないし…
(ジューシーって…)

ただ、そのおかげもあってか、料理が運ばれてくるまでのあのワクワクドキドキ感。
非現実的な世界に来た感覚で、
東京ではなかなか体験できない「沖縄にきた感」が強く感じられて気分は上々でした。

分からない方がむしろありがたくて、ここにしかない世界観(文化)に触れている時間が楽しかったんです。

車の例にしても、観光地の例にしても、
サービス提供者側が顧客の顕在的なニーズだけに目を向けてしまうと、
機能性(便利さ、使いやすさ)ばかりを追い求めてしまいます。

けれども、顧客の潜在的なニーズに目を向けてみると、
上記の例の様に、あえて不便さが設計されていた方が、サービスの体験価値が向上します。

つまり、便利さを追求することだけが、真の顧客視点ではない…!

(なんでもかんでも便利にすると、かえって価値を下げていることもある。)

ちなみに…
顧客体験の中のどの部分に不便さを設計するべきかは、
正直どの部分でも良いと思います。
大事なのは、消費者のニーズや利用目的を理解しつつ、
その不便が「ならではの価値」をより引き立たせることができているのか否かです。

抽象的にいうと、〇〇っぽいのか?〇〇っぽくないのか?という点。
(〇○=対象となるブランド)

ここを見誤ると、誰にも求められていない自己満足な不便(価値のない不便)で終わってしまうので注意が必要です。

その商品・サービスならではの価値を十分に理解し、
その価値に深みを出すための体験設計をすることが真の顧客視点なのだと思います。

・・・

スターバックスの様なブランドもそうですが、
世界観の基盤をつくり(コンセプトやキービジュアル)、
顧客の中でニーズが発生した時に、
すぐに世界観が連想されるくらいのイメージ浸透ができれば
価格競争に巻き込まれません。

世界観(文化)で選ばれていれば既にonlyoneで、機能性で選ばれていれば他に目移りされてしまいます。
(機能は簡単に真似されやすいので…)

長く選ばれ続けるためにはやっぱり世界観が必要で、それこそが無形資産を築くということです。

今一度、誤った顧客視点(利便性こそ正義)から脱却し、
不便さによって世界観の体感度合いが増し、
顧客体験価値の向上にも繋がるということを念頭に置いておきたいところです。

それではまた!

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