
素敵なページに足りない、買っていい理由
写真はきれいで、言葉もやわらかい。見ていると、なんとなく行ってみたくなる。なのに、問い合わせにはつながらない。
ブランディングに力を入れたお店や会社のホームページで、ときどきこういうことが起きます。欲しい気持ちは生まれているのに、最後の一歩が踏み出せない状態です。
欲しい理由と、買っていい理由
人が何かを選ぶまでには、二つの理由がそろっています。
ひとつは欲しい理由です。こんな暮らしがしたい、こんな自分になりたい、という気持ちを動かすもの。写真やコピーが得意とするのは、こちらです。
もうひとつは買っていい理由です。なぜこの値段なのか。ちゃんとした会社なのか。本当に任せて大丈夫なのか。こうした不安をひとつずつなくしていくもの。
雰囲気のいいページは、欲しい理由をしっかり作れています。足りていないのは、そのあとで背中を支える材料のほうです。いいなと思った人ほど、申し込む直前に、ここで大丈夫かを確かめに来ます。そこに答えが見つからないと、そっとページを閉じてしまいます。
整体院のページで考えてみる
ここからは作例です。住宅街で開業して三年目の整体院が、ホームページをつくり直したとします。トップの写真は、木の床と白い壁でまとめた施術室。見出しは「からだが、ほっとする時間を。」。そのあとも、窓から入る光や、ハーブティーの写真が続きます。
見た人の感想は、素敵、行ってみたい。ところが予約はなかなか増えません。
このページを、予約する直前の人の気持ちで読み直してみます。浮かぶ不安は、だいたい四つです。
- 金額:一回いくらかかるのか。なぜその金額なのか。
- 中身:何をされるのか。痛くないのか。何回くらい通うものなのか。
- 人:どんな人が担当するのか。
- お店:初めてでも入りやすいか。予約から帰るまでの流れはどうなっているか。
このページには、四つのどれにも答えている文がありませんでした。料金は「メニュー」のページにあり、担当者の紹介は無く、初回の流れも書かれていません。
雰囲気はそのままに、材料を足す
直すときに、写真と見出しは変えません。欲しい理由は、もうできているからです。足すのは、その下に置く材料です。
- 金額:「初回は問診と施術で60分、6,600円です。からだの状態を聞く時間を、30分ほど取っているためです。」
- 中身:「強く押したり、ボキッと鳴らしたりする施術はしていません。」「多くの方は、最初の一か月に二、三回通われています。」
- 人:院長の写真と、この仕事を始めたきっかけをひとこと。
- お店:予約してから帰るまでを、四つの場面で。受付、問診、施術、次回の相談。
金額や回数はあくまで作例の数字です。大事なのは、値段を書くときに、その理由を一文添えることです。値段だけが書いてあると高いか安いかで比べられますが、理由が添えてあれば、自分に合うかどうかで考えてもらえます。
自分のページを、申し込む直前の人として読む
雰囲気を大事にしているページほど、値段や手順のような話は、ブランドのイメージを崩すように感じて後ろへ回しがちです。けれど、読む人にとっては、それが最後に背中を支える言葉になります。
- 自分のページを、申し込むかどうか迷っている人のつもりで、上から読む。
- 金額、中身、人、お店の四つについて、答えている文に印をつける。
- 印のつかなかったものについて、最近来てくれたお客様に、初めて来る前に気になっていたことを聞く。
- 聞いた言葉に答える文を、写真と見出しの下に足す。値段には、理由を一文添える。
欲しい理由をつくれているページは、もう半分まで来ています。あと半分は、見た人が安心して決められる材料を、同じやわらかい言葉で置いていくことです。



