
施工事例に書く4つのこと
施工事例は増えているのに、お問い合わせのきっかけになっている感じがしない。住宅会社さんのご相談で、よく出てくる話です。
ページを拝見すると、たいてい写真はきれいです。件数もそろっています。それでも読んだ方の中に何も残っていないことがあります。原因は写真でも件数でもなく、書いてある文章のほうにあることが多いです。
作ったものの名前で埋まっている
施工事例の見出しは、多くの場合こうなっています。「〇〇様邸 木のぬくもりを感じる家」「平屋 自然素材の住まい」。
間違ってはいません。ただ、この一行から、読んだ方が受け取れるものはほとんどありません。どんなご家族が、どんな事情で、どんな判断をして、この家になったのか。そこが書かれていないからです。
掲載のご許可をいただいて、写真を撮り直して、手間はかかっています。かかっているのに残らない。もったいないところです。
読む方が探しているのは自分と似た人
施工事例を見に来られる方は、上手な会社かどうかを判定しに来ているわけではありません。探しているのは、自分と同じ状況の方が、そのあとどうなったかです。
ご家族の人数や、ご予算の幅や、いま困っておられること。そこが最初に見えないと、自分の家の話として読めません。
一行目に書くのはお施主様の事情
そこで、一行目を書き換えます。作ったものの名前ではなく、その方が何に困っていて、どういうタイミングで来られたのかを書きます。
「〇〇様邸 木のぬくもりを感じる家」であれば、「上のお子さんの入学までに、と動き出されたご家族です。予算の関係で、2階は当面ひと部屋のままにしています」。
読んだ方が、急に自分ごととして読み始めます。うまくいった自慢ではなく、困っていた話から始まっているからです。同じところで困っている方が読むので、それでいいと思っています。
分かれ道を一行だけ入れる
4つの中で、いちばん抜けやすいのがここです。そして、入れたときにいちばん差が出るのもここです。
仕事の中身は、決めた結果ではなく、決める前の分かれ道に出ます。
「外壁のグレードを落とすか、部屋数を減らすか。ご夫婦で意見が分かれたところでした。10年後にお子さんが家を出る前提で、部屋数のほうを見直しています」。
この一行があると、この会社は何を基準に決める会社なのかが伝わります。間取りも仕様も真似できますが、迷い方は真似できません。
工程は短くて構わない
意外に思われるかもしれませんが、ここは短くて構いません。「間取りを2回引き直しました」。それくらいで十分です。
つくった側なので、工程は細かく書きたくなります。ただ、読む方の関心はそこまで高くないところです。
お引き渡しのあとに何が起きたか
お引き渡しのあとに、何が起きたかを書きます。
数字があれば数字がいちばんです。「お引き渡しから2年で、同じ地区から3件ご紹介をいただきました」。
数字が出ないことのほうが多いと思います。その場合は、お施主様の言葉を1つだけ。お引き渡しの日にいただく「ありがとうございました」よりも、しばらく暮らしてから出てきた言葉のほうが強いです。半年後の一言は、気を遣って言えるものではないので。
ここで気をつけたいのが、うちがやったから、という書き方をしないことです。ご紹介をいただけたのは、住まいだけの話ではないかもしれません。そのあと何が起きたかを、事実として置くだけにする。読む方はそこをちゃんと見ています。
書けない行は担当者に聞く
4つで書こうとすると、途中で止まります。とくに2つ目と4つ目。迷ったところを思い出せない、そのあとを知らない。
忘れたのではなく、聞いていないだけのことが多いです。
担当した設計士や営業の方に、3つだけ聞いてみてください。ご相談に来られたとき、お施主様はどんな言い方をされていたか。打ち合わせの中でいちばん判断に悩んだのはどこか。お引き渡しのあとに何かおっしゃっていたか。5分で終わります。口の重い方でも、この話になると止まらなくなる。話す場がなかっただけで、細かいところまで覚えておられます。
直近の3件から始める
いきなり全件は書き直せません。お引き渡しの終わった3件を選びます。出来のいい順ではなく、完了した順で構いません。どれにするか考え込むと、そこで手が止まるので。
1件15分、3件で45分。そのうえで、施工事例の一行目だけ差し替えます。写真の位置もレイアウトもそのままで大丈夫です。残りの何十件かは、そのままで構いません。
3件そろうと、4つのうちどれが自社で強く出るのかが見えてきます。あとはそこから足していけば十分だと思います。



