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選ばれない理由が、数のことがある
2026.09.09

選ばれない理由が、数のことがある

問い合わせが来ない理由を探すとき、知名度や価格や見た目に目が向きます。そこを一通り疑ったあとで、まだ残っている原因があります。並べている数です。

足は止まっているのに、買われていない

ジャムの試食販売で品数だけを変えて比べた実験があります。棚に二十四種類を出した日と、六種類に絞った日です。

にぎやかなほうが目を引くので、足を止めた人は品数の多い日に集まりました。それでも、買って帰った人の割合は絞った日が十倍です。集めることと、選ばれることは、別々に起きています。

ここが見落とされやすいところだと思っています。アクセスは伸びている。滞在も悪くない。数字の上では届いているので、原因が数のせいだとは思いにくい。

多いと、選ぶのが怖くなる

選択肢が増えると、もっといいものがあるかもしれない、という気持ちが立ち上がります。選び違えたら損をする、とも考えます。心理学では決定回避と呼ばれています。

大事なのは、この人たちが無関心ではないことです。興味はあるし、欲しいとも思っている。ただ、間違えたくないほうが勝った。いちばん惜しい離脱は、関心のある人が決めきれずに帰るところで起きています。

並べることが、誠実さになっている

やれることを全部並べるのは、隠さないという意味では誠実です。実際、書いてあることに嘘はありません。

ただ、それは自分の側を向いた誠実さです。うちはこれだけできます、という申告になっていて、相手が今どこにいるかを見ていない。初めて検討を始めた人は、自分がどれに当てはまるのかも、まだ分かっていません。

相手の側から見て要るのは、全部の一覧ではなく、最初にどこを見ればいいかという一つです。

何を捨てたかが、ブランドになる

ここはブランドの話でもあります。

入り口に何を出すかを決めることは、何を前に出さないかを決めることです。全部を同じ大きさで並べているうちは、その会社が何を大事にしているのかが伝わりません。並びの順番と数は、言葉より先に立場を語ります。

選ばれ続けている会社は、たいてい何かを前に出していません。やれないからではなく、いちばん見てほしいものを守るために外している。絞った側にしか、思い出してもらえる余地は残りません。

中身は減らさなくていい

誤解されやすいのですが、事業を減らす話ではありません。減らすのは一度に見せる数だけです。

奥に入れば全部ある。入り口に見えるのを三つか五つにする。人が一度に頭に入れておける数は、心理学者のジョージ・ミラーによれば五つから九つだそうです。その上限を越えたあたりから、比べる作業そのものが重くなります。

六十種類のパンを並べたパン屋さんが、レジの横に今日のおすすめを三つ書いたら、迷う時間が減ったそうです。パンは一つも減っていません。始める起点を置いただけです。

絞ると、来る相談が変わる

うちのサイトも、昔はサービス一覧に八つほど並べていました。今は入り口を絞っています。

変わったのは件数より中身でした。八つ並んでいた頃は、何ができる会社なのかを確かめる質問から始まっていました。今は、依頼したい領域が決まった状態で話が始まります。

絞ることで届かなくなった人がいる可能性は、正直に言えば残ります。ただ、迷ったまま帰っていた人のほうが、たぶん多かったのだと思っています。

数えるところから

自社のサービスページを開いて、トップに並んでいる項目を数えてみてください。七つを超えていたら、内容はそのままで、入り口だけ三つにまとめ直せます。

選択肢を減らすのは、お客様を信じていないからではありません。動きやすい形にして渡すことだと思っています。