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Journal ジャーナル
指示の曖昧さが、見た目のばらつきになる
2026.08.30

指示の曖昧さが、見た目のばらつきになる

制作物のばらつきは、作り手の力量よりも、指示の言葉から生まれていることがあります。

「なんかダサい」「もっと目立たせて」「いい感じにして」。よく使われる言い方ですが、これを受け取った側は、直す方向を推測するしかありません。色を変えるのか、写真を大きくするのか、当てにいく。外れたらまた作り直す。3回やって最初の案に戻る、ということが起こります。

費用も時間も増えますが、いちばん失っているのは、そこで蓄積されるはずだった判断の基準のほうです。

ブランドの精度は、発注側の語彙で決まる

ブランドは、名刺、チラシ、サイト、店内表示、SNSと、たくさんの制作物を通じて人の前に出ます。それぞれの完成度がばらつくと、受け取る側の印象もばらつきます。

この精度をそろえるのは、実は制作会社を1社にまとめることではありません。発注する側に、良し悪しを指し示す言葉があるかどうかです。言葉があれば、誰に頼んでも同じ基準で戻せます。

4つの言葉で足りる

ロビン・ウィリアムズの『ノンデザイナーズ・デザインブック』(1994年)に、4つの原則があります。近接、整列、反復、対比です。

近接は、関係のあるものを近づけ、関係のないものを離すこと。見出しと本文が離れていて段落どうしがくっついていると、意味の切れ目が読めなくなります。

整列は、見えない線に端をそろえること。見出しも本文も写真も、左端を1本の線にそろえる。これだけで素人っぽさは大きく減ります。

反復は、同じ役割のものを同じ見た目にすること。小見出しが3つあれば、大きさも太さも色も同じにして、ページが変わっても変えない。

対比は、違うものをはっきり違わせること。少しだけ違うのがいちばんよくない状態で、そろえ損ねたように見えます。

指示を、そのまま言い換える

この4つがあると、指示の文はこう変わります。

「なんかバラバラ」は、「写真の左端と見出しの左端が5ミリずれています。そろえてください」に。「素人っぽい」は、「小見出しが太字と色つきと大きい字で違います。1つに決めてください」に。「もっと目立たせて」は、「このページでいちばん言いたいのは創業50年の1行です。そこだけ大きくして、あとは小さくしてください」に。

最後の1つが示しているのは、目立たせるとは全部を大きくすることではなく、順番を決めることだ、ということです。何を最初に読んでほしいかは、作り手ではなく、事業をやっている側にしか決められません。

社内に置くなら、チェックの形で

この4つは、担当者が変わっても残る形にしておくと効果が続きます。制作物を確認するときの4項目として、承認フローに入れてしまうのが早いと思います。

関係のあるものが近くにあるか。端がそろっているか。同じ役割が同じ見た目か。差をつけたいところに差がついているか。

紙に出して赤で書き込み、そのまま制作側に渡す。これだけで、戻ってくるものの精度が変わります。